
「小左衛門」Dessin
KOZAEMON
岐阜県 中島醸造
農家・農業
「日吉機械化営農組合」
造り・造り手
「中島醸造」
デザイン・芸術
「対馬 肇」

商品コンセプト
どんなに便利な世の中になっても忘れてはいけない原点がある。
酒造りとはその地域の自然環境の中で造られるもの。
元禄15(1702)年創業という歴史のある蔵元。当代、中島小左衛門用信が年貢米を活かし酒造りをしたのが始まりですが、その後、時代の流れと共にさまざまな地域のお米を使用した酒造りを続けてきました。そして創業から300年を迎えた平成14年。元禄15年の創業当時のように地元瑞浪にて酒米を育て、収穫したお酒2種類を発売するに至ります。世の中とは不思議なもので、どんなに便利な世の中になっても忘れてはいけない原点がある。そう気付かされた蔵元は、酒造りとはその地域の自然環境の中で造られるものということを再確認し、その後、単位農協との取引始め、農家の方々の顔が見えるお米の入手に尽力していきます。
そんな蔵を切り盛りしている中島修生さんは、自然・モノ、文化や伝統を大事にするスローライフを心がけるおおらかな人です。蔵元に訪問した際に、修生さんと話したコンセプトから誕生したのが、この「小左衛門 Dessin」シリーズです。デッサンは、その飾らない素朴さを表現しており、基礎の大切さを教えてくれます。ただお酒を飲むだけでなく、農業にもっと感心をもってもらいたいとの思いから、「土」「根っこ」「米の芯」とラベルをシリーズ化しています。お酒を飲むたびにその土地々々の田園風景を思い描いていただけるとありがたいです。

酒米生産者 「日吉機械化営農組合」あえて米作りの裏側を見てほしい。蔵元と連携しての循環型農業を目指す。
小左衛門デッサン「米の芯」で使用しているお米「ひだほまれ」は、岐阜県を代表する酒造好適米です。そのひだほまれを作る地元瑞浪市の営農組合のひとつ「日吉機械化営農組合」の板橋組合長さんにご案内いただきました。苗が青々とした初夏や穂が実る秋の田園風景は絵になりますが、あえて堆肥つくりなど、米作りの裏側を知る意味でも冬場にいらっしゃるのもどうですか?というご提案を受け、2月に訪問しました。
日吉機械化営農組合さんは、循環型農業を近未来に確立することをミッションに前向きに農業に取り組んでいらっしゃる組合です。今回も中島醸造さんのお酒を造る際の副産物である酒粕を使用し、籾殻、小糠、牛糞などを使用したオリジナルの堆肥を作られている最中でした。酒粕を入れていないものと比べると、アンモニア臭が抑えられ、穏やかな香りの中にも酸っぱさを感じる香り。また、65℃程度の高い温度での発酵が長期間続いている点でも大きく異なっていました。良質な堆肥を使用すると、田んぼの水がキレイに保たれるそうで、その綺麗な水が美味しいお米を育てると言います。
この試みはまだ2年目ですが、今年は酒粕入り堆肥とそうでないものを区画で分けて、味や成分に違いがでるか試すそうです。このような農家さんとの協力も含め、日本酒の新しい世界が生まれるのだと思います。

蔵元 「中島醸造」
農家の方々の顔が見えるお米による日本酒造りを心掛ける。
小左衛門デッサンシリーズを造る蔵元が、岐阜県瑞浪市にある中島醸造です。創業1702 年の歴史ある蔵元。この地の庄屋をつとめていた中島小左衛門用心氏が酒造業を開始したのが始まり。もともとは「始禄」というブランドが中心でしたが、平成12 年に純米・三年古酒を中心に計7 種類の新ブランド「小左衛門」を立ち上げます。その後、平成14 年に地元瑞浪にて酒米を育て収穫し、現在では、単位農協との取引開始。農家の方々の顔が見えるお米の入手に尽力されています。

デザイン 「対馬 肇」
米・根っこ・土の3種デッサンシリーズ
このラベルデザインは、最初にデッサンでやってみたいという依頼のもと完成したシリーズです。最初の商品は何をモチーフにすればよいのか悩みましたが、米粒にしようと思い、一粒一粒書き上げていきました。最終的にたくさんの米粒を重ね仕上げました。今まで見た事のないインパクトのあるラベルに仕上がったと思います。2作目の根っこも1本1本をデッサンしました。根っこが細く難しいモチーフでした。3作目は何をデッサンするのかから悩み、土に決め、実際の田んぼの土に水分を含ませ泥をデッサンしていきました。デザインを中心に、酒をシリーズ化することによって、このお酒のブランドがより強化され、デザインでさらにそのお酒の魅力を伝えれたらいいなと思います。
[Profile]
1970年広島県呉市生まれ。
岡山ポリテクカレッジ短期大学校 プロダクトデザイン学科卒業
環境施設メーカーを経て1995年独立。
アートディレクター/グラフィックデザイナー
現 大阪芸術大学短期大学部 准教授